ででスコ
ででスコ
料理の味が際立つ、さわやかな辛味調味料
タバスコ風の容器に入った「ででスコ」は、辛味調味料。鹿児島県大隅半島の南部にある、肝付町・南大隅町に古くから自生する「辺塚(へつか)だいだい」を使った辛味調味料です。
「でで」とは、「辺塚だいだい」の地元での呼び名です。4月末から5月にかけて咲く花は、真っ白で、さわやかで甘い香り。それが実をつけ、9月から10月には濃い緑色となって収穫されます。たっぷりと採れる果汁は香り高く、とても酸っぱいことから、古くから酢の代用品として使われてきました。
農水省は、地域に残る伝統的な生産方法や気候・風土などと結びついた産物を保護するために「地理的表示(GI)保護制度」という制度を設けています。「辺塚だいだい」はその登録を受けた作物で、いわば幻の果実。昔は民家の庭に植えられていた「でで」ですが、過疎化が進み、その数も希少になってきました。
そんな「でで」の香りに導かれて移住したのが坂田みのりさん・蔵人さん夫婦。自生のものを育てるだけでなく、開墾し、苗木を植え付け。唐辛子の一種「ハバネロ」も栽培し、「でで」と合わせて「ででスコ」という新しい辛味調味料を誕生させました。
タバスコとよく似たネーミングですが、タバスコとは全く違う味と香り。青みを感じるさわやかでフルーティーな香りと繊細な辛みが印象的です。料理の味を邪魔せずに、より引き立ててくれる優れもの。チーズトーストなど脂っこい料理をさっぱりとさせてくれたり、トマトや豆を使ったエスニックなスープなどにもよく合います。辛味調味料がお好きな方は要チェックです。
岸良リトリート
岸良地区は、鹿児島県大隅半島の南部、肝属郡肝付町にあります。ここに移住してきたのが、北海道出身で世界各地を渡り歩いてきた渡辺さん夫婦。鎌倉に住んでいた頃、とあるカフェで「辺塚(へつか)だいだい」と出会います。「絶景が広がる場所だよ」と教えられ、その香りに誘われるように移り住むことになりました。
坂田さんらが作ろうとしているのは、自然と調和した暮らし。「海や山や川があるダイナミックな自然の中にゆっくりと滞在して、訪れる人が元気になれる素敵な居場所」です。
そんな岸良リトリートの活動の一環として、「辺塚だいだい」を使った調味料を販売したり、音楽やアートと絡む企画をしたり。「何もないからこそ、わたしたちにも何かできるんじゃないかというやる気にさせてくれる」とクリエイティブに活動する坂田さんらに惹かれ、新たな輪が広がりつつあります。